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第二百十三号「ギリギリ君が日本を救う!」(10月27日号)

人間の体の中にはドキドキボタンがあって、タイムリミットが近づくと、そのボタンが自動的に作動するものと思っていました。

 

しかし、最近顕著に思うことは、このドキドキボタンのスイッチが押されるタイミングは、人それぞれ異なるということです。中には、全くスイッチが押されぬまま、タイムリミットを迎える方もいらっしゃいます。

 

さて、このドキドキボタンの正体とは?心理学的に言うと、「身体化症状」と呼ばれるものです。具体的には、感情のコントロールし辛くなると、ドキドキしたり、緊張したり、顔がこわばったり、呼吸が速くなったり、ゾッとしたり、冷や汗をかいたり・・・といった現象が現れます。

 

この身体化症状がひどくなる前に、感情のコントロールをすべく手立てをうつのが人間。期日が決定しているものについては、計画的に前倒しで作業をするなり、一人でできないことは、周囲に助けを求めるなどして、ドキドキくん状態を回避するわけです。

 

しかし、中には、このボタンの押されるタイミングが大変遅い方もいらっしゃいます。このたびも、ある大学の志望理由書提出に関し、提出日1週間前に、このドキドキボタンが作動したお子様もいれば、提出前日作動したお子様もいらっしゃいます。当日まで作動しなかったお子様の中には、「今年はや~めた。来年うっけよ~」とテレビのスイッチに手をかけた方もいるでしょう。

 

そんなこんなの10月も終わりに近づき、一人の大学院生が弊社を訪れました。彼は、スポーツ万能、ファッションセンスもあり、話が面白く、社交的、と、とっても素敵な男性です。しかし、なぜか、彼のドキドキボタンもなかなかオンにならないタイプです。今も必死で修士論文を書いていらっしゃいます。

 

そんな彼と話していて、ある発見に二人で意気投合しました。それは、

 

「日本の社会の95分が、ドキドキボタンがギリギリに作動する!」しかも、

「このギリギリくんたちのお陰で日本の経済はなりたっている!」、ということ。

 

まず、組織のピラミッド。トップ5%の人間が、納期を意識しマネジメントをする。その下で働く95%は、その日のルーティーンを繰り返し行い、時間になると、「お先に失礼いたします」と帰ってゆく。この制度がきちんと出来上がっていたからこそ、組織内での不必要な紛争も起こすことなく、多くの人が平和に暮らして来られたのではないでしょうか。全ての社員が、タイムマネジメント、タイムマネジメント、と叫んでいては、ドキドキして、楽しいランチタイムもなくなります。究極を言えば、レジャー産業はお手上げです。

 

もう一つは、ギリギリくんたちが、宅配、コンビニ、自動販売機、タクシーなどの売上に貢献しているということ。みなが前倒しで作業できれば、まず、速達、宅配、バイク便の需要は減るでしょう。みなが計画的に、スーパーの開店時間帯に必要なものを買い揃えられるなら、深夜営業ショップ、コンビニ、はたまた自動販売機、といったものが必要なくなります。みなが計画的に仕事を終え終電に乗れたら、ビジネスホテル・カプセルホテル、タクシー、漫画喫茶の需要は減るでしょう。

 

ああ、日本の社会における、ギリギリくんたち。あなた方の存在は大きかった!

 

最後に一言。私は、前倒しのドキドキくんたちも好きですし、そしてギリギリくんたちも大好きです。大切なことは、自分がどちらのタイプであるかを知った上で、適材適所に身を置き、バランスある社会の形成に役立つことではないでしょうか。

 

野村るり子

 

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