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第二百二十六言「こんな二代目さんを心から応援したい」(2009年1月26日号)

モントリオール世界映画祭で最優秀脚本賞を受賞した『誰も守ってくれない』を観てきました。評論は専門家に任せますが、是非観てもらいたい映画の一つであったことは伝えておきましょう。ストーリーが優れているのは勿論のこと、カメラワークが素晴らしい。報道カメラマンが収めた映像には、このように写っているのだろうかと思わせるカメラの傾きとブレ具合(表現が下手で申し訳ない)。

 

この映画を印象つけたもう一つの理由は、主役級の熟練した俳優が数多くキャスティングされていたことです。佐藤浩一さんに、石田ゆり子さん、佐々木蔵之介さん、佐野史郎さん、津田寛治さん、木村佳乃さん、柳葉敏郎さん。これらのベテラン俳優に混ざって演技した志田未来さんや冨浦智嗣君の10代パワーも印象的でした。しかし、今回、最も私の心に焼きついたのは、以上には記していない、松田龍平さんの演技でした。

 

龍平さんは、俳優松田優作さんと松田美由紀さんの長男。伯母は女優の熊谷真実さん。言わずと知れた俳優家族の一員です。おそらく、幼少期から「君のお父さん、松田優作さんって本当ぉ~」と聞かれて育ったのだろう。私は、このような二代目さんの中で本当に優れた人を見ると、一代で地位や名誉を築き上げた人より、ある意味けなげでよく耐えたと声を掛けたくなります。上手くいけば、七光り。上手くいかなければ、父親や母親と比較される。そんな状況下、私はいつも心の中で応援していることがあります。それは、父や母を超えようとしなくてよい。ただ、自分の個性で父や母に並ぶ俳優になってもらいたい。

 

音楽の世界で言うなら、森山直太朗さんの生き方にも惹かれる。母は森山良子さん、父は元グループサウンズのジェームス滝さん。従兄弟伯父は、かまやつひろしさん。両親が誰であろうと、親戚筋に誰がいようと、そんなことに関係なく直太朗さんの音楽的センスは輝いていました。彼がデビューした時も、彼の努力の跡を感じずにはいられませんでした。

 

そう言えば、私がお世話になっている写真館のオーナーも、美容室の店長も、先代がその店を立ち上げ、それらをさらに盛り上げている人たちです。彼らも自らの個性を生かし、変革の時代を経て、彼ららしい経営をしています。血筋を否定するのではなく、肯定した上で、プラスアルファーする経営です。

 

正直に言うと、七光りに頼り、立場をわきまえず、周囲の人に命令口調で指示をする人たちを見ていていると、あまり気持ちはよくない。しかし、本日挙げた二代目さんたちは、どんなに周囲の大人たちが彼らを特別扱いしようとしても、常に謙虚な気持ちを忘れず、地道に生きてきた人たちではないでしょうか。こんな二代目さんを私は心から応援します。

 

野村るり子

 

第二百二十五言「人を動かすコミュニケーションのポイント。服装を選ぶ」(2009年1月19日号)

先週末、講師育成セミナーを実施しました。その席で、「野村先生、どのようなポイントを見て講師のポテンシャルを見抜きますか?」という質問が出ました。

 

私の答えは、迷わず「その人の人柄です」と答えました。

 

どんなに知識があったとしても、人を蔑んだり、人前で傷つけることを平気でできる人が教壇に立ったのでは受講生の人生を台無しにしてしまうからです。

 

ここまで説明をすれば、「では、野村先生は、人を外見で判断しないのですか?」と訊ねられそうですが、その答えは「勿論、判断します」です。

 

ただし私は、相手が身に着けているもののブランドや価格を見ることではありません。むしろ、身につけているものが物語るその人の生きる姿勢を読み取ろうとします。

 

私が信頼して仕事をお願いしている校正者は、理系出身です。彼に校正の仕事を任せたいと思った理由は、彼の身なりにありました。はじめて出合った時から、彼の服装に乱れを感じたことが一度もありません。常に清潔で、シャツやズボンにはアイロンがかけられていました。最初私は、クリーニングに出すだけの余裕があるのかなと考えていました。ある日、会話の中で、彼自身が毎日アイロンをかけていることを知りました。勿論、他にもいくつかの理由はあるにせよ、彼のしっかりとした身なりが、私の心を動かし、他の誰でもなく、彼に校正を任せたいと思わせたのです。

 

「何事も丁寧に行う」、

「どんな小さなことも見落とさない」、そして

「一日も欠かさず継続する」。

 

これだけの要素があれば、文系だろうが理系だろうが、あまり関係ありません。誰よりも多くの誤植を正確に見つけだすことができると確信を持てます。

 

 

次に私が外見から判断するのは、その人のプロとしての姿勢です。作業をする際身につけているものが、仕事の目的にあったものを選んでいるかです。

 

私が長年、弊社のネットワーク環境の整備をお願いしているのは、若干20代半ばの青年です。常に難しい専門用語を使い、早口で話すので、時々話しについていけなくなることもあります。それでも彼に仕事をお願いしているのには理由があります。それは、彼の服装に「プロ意識」を感じるからです。

 

シャツにもパンツにもたくさんのポケットがついており、必要な工具はそれらに納めています。お陰で常に両手はフリーな状態で作業に当てることができます。次に、洋服の素材は、膝や腰の曲げ伸ばしが自由な柔らかいコットン生地です。テーブルの下にもぐって作業をするのも、椅子や机の上にたって天井高くまで手をあげるのも、難なくこなせるのは、こんな服装を心がけているからではないでしょうか。

 

今回、私が伝えたかったことは、人はあなたの外見から多くを判断するということです。それは、決して高級なスーツを着用することは、ブランドのバックを持つことを勧めているわけではありません。自分のポリシーがしっかり現れ、また、仕事の目的にあった機能性を考慮し服装を考えることが大切だということです。更に加えるなら、相手を不快にさせないデザインや色を心がけることも大切です。

 

 

野村るり子

 

第二百二十四言「人を動かすコミュニケーションのポイント。最適なメッセンジャーを選ぶ」(2009年1月12日号)

人を動かす上で、誰がメッセージを伝えるかを考えることは大変重要なことなのです。成功している多くの企業は、このことを戦略的に考え、行動に移し、目に見える成果を手に入れています。身近な例で言うなら、コマーシャルです。同じメッセージを送るなら、どのタレントを起用しようと同じでしょうか?おそらくあなたは首を横に振ったのではないでしょうか。

 

バラク・オバマ氏のスピーチを思い出して下さい。彼の話を聞きながら、涙したアメリカ市民は数知れません。目頭に手をあてながら聞き入る黒人女性、祈りのポーズを取りながら聞き入る老女、しわだらけの手を両頬にあてて聞き入る年老いた男性。彼らの映像はメディアを通して世界各国に届けられました。気づいて頂きたいのは、これらの映像がテレビ局や制作会社の演出によるものではなく、実際にスピーチに心打たれた人たちの自然な姿であったということです。

 

多くの市民がこれらの講演に涙したのは、内容が優れていたからだけではないはずです。肌の色の違いにより、自らの家族が、そして自らが偏見を肌で受け止めてきたオバマ氏の生の声であったから、心の奥底にまで届いたのではないでしょうか。

 

このような例は他にもあります。実際に私がコミュニケーションの力によって動かされた時の話に触れておきましょう。

 

私は大学3年の頃から、小児がんや筋ジストロフィーといった、病と闘う子どもたちの支援団体に寄付をしています。これは、親や大学の教師に強制され始めたことではありません。きっかけをくれたのは、ひとつのテレビのコマーシャルでした。当時の私の習慣は、夜遅くまで、ソファーに寝転び、テレビを見ることでした。ある日、病と闘いながらも微笑む子どもたちの姿がブラウン管に映し出されました。その瞬間、私ははね起き、画面に流れた支援団体の電話番号を必死で書き写しました。

 

テレビコマーシャルの後押しをしたのは、ある少女との出会いでした。テキサス州、ヒューストンの街中で、洗車を待っていた時のことです。クルクル巻き毛の女の子が私の隣にちょこんと腰掛け、話しかけてきました。

 

「私の髪の毛は、まっすぐだったの。キモセラピー(Chemotherapy=化学療法)でこんな風になったの。回りの人は、私をシャーリー・テンプル*みたいと言うわ」(*1930年代の子役。メンソレータムのふたに描かれた巻き毛の少女のモデル。)

 

インフォームドコンセントが今ほど進んでいなかった日本で育った私は、隣にいる母親に「こんなに小さなお子様にも、病気の治療について説明するのですか?」と尋ねました。すると、母親は「これは、この子の問題だから、説明を聞く権利があると思うの」と微笑み返しました。メディアを通してではなく、無邪気な子どもの笑顔に直接触れ、現実を受け止め冷静に前を見つめる母親の声を聞いたことで、私の心はさらに動かされました。

 

私が取った行動は大変小さなものです。支援団体に、毎月10ドルの小切手を送ることです。わずかなバイト代から、各団体に小切手を送ることは当時の私にとって容易なことではありませんでしたが、私はこの行動に「義務感」を持ったことは一度もありませんでした。むしろ、はやる気持ちを抑えながら、ポストに走ったものです。

 

私が信じる「健全なコミュニケーション」とは、強制的に人を動かすことではありません。メッセージを受けた相手が自主的に行動をおこすものであり、当人に負担を感じさせるものではありません。なぜなら、当人が心に喜びを感じる行動でなければ、長続きはしないからです。

 

人を動かす上で、「誰が伝えるか」を考えることは大変重要です。しかし、最後にひとつだけ注意をしておきましょう。それは、結果欲しさに、無理やり誰かをメッセンジャーとして起用することは、かえって逆効果だということです。

 

あなたも、次のような光景を目にしたことはありませんか?

 

有名タレントが街中を歩いている。そこに、カメラつき携帯片手に走りよる主婦。「うちの娘が、あなたの大ファンで、写真を撮りたいと申しております」と早口に語り、子どもの背中をグイと押す。「ほら、そうよね。このお兄ちゃんと写真撮りたいって言ったわよね」

 

幼い娘には写真を撮りたい気持ちはなく、その人が誰なのかも分からず、立ちすくむ。主婦はそんなことお構いなしに、シャッターを押す。

 

さて、残った画像はどのようなものになるでしょう。おそらく、半泣きの子どもと苦笑いをするタレントの姿ではないでしょうか。

 

こんなことになるなら、正直に「いつもテレビで応援しています。20歳も年上のおばさんですが、よろしければ写真を一緒に撮らせて下さい」と話した方が、ずっと効果的です。

 

大切なことは、誰がそのメッセージに気持ちを込められるかということです。なぜなら、その気持ちこそが相手の心に届き行動を促すものだからです。

 

野村るり子

第二百二十三言「あけましておめでとうございます。手書き年賀状はいいものです。」(2009年1月05日号)

新年あけましておめでとうございます。

2009年もこれまでと同様、素晴らしい年にしましょう!

 

今年も多くの方から素敵な年賀状を頂戴しました。本当にありがとうございました。

 

WEBや携帯で、ポンと一押しすれば「年賀メールや」「e-カード」を送れる時代に突入し何年経ったことでしょう。そんな時代、手書きの年賀状がポストに届くのは大変嬉しいものです。

 

どの年賀状も心温まるものでした。今回は、その中でもちょっと心に残った年賀状を3つ紹介させて頂きます。

 

n         「あけましておめでとうございます。今年は挑戦の年です。これからもよろしくお願い致します。」(18歳スポーツ選手さんからのメッセージ)

 

これまでスポーツ選手として頑張ってきたのですが、ほんの数ヶ月前、怪我が理由でドクターストップ。これからはインカレ選手として頑張る!と決意を新たにした直後のことでした。これまで掲げてきた大きな目標が一瞬してなくなったかのように見えました。しかし、彼は、数ヶ月考えに、考えに、考え抜いた末、「これからは、コーチとしてスポーツに携わる」ことと、「税理士資格の勉強を開始する」ことと、もともと人と触れ合うことで多くの人たちに夢や希望を与え続けてきた彼らしく、「アナウンサーになるための勉強を開始する」という3つの具体的な目標を設定しました。『挑戦』の一言には彼からの多くのメッセージが込められていると思います。野村が本年、全力で応援したい一人です。

 

n         「ことしは英語に真剣に取り組みたいと思っています。よろしくお願いいたします。」(20歳俳優さんからのメッセージ)

 

彼は大変多忙な俳優さんですが、高校時代から、これまで、年賀状を欠かしたことはありません。しかも、例年11日にメールボックスに届きます。そして、毎回の丁寧に書かれた文字には感心するばかり。どんなに忙しくても、感謝の気持ちを忘れない彼だからこそ、今もトップを走っていらっしゃるのだと思います。そして、彼は、常に有言実行の人。英語も相当高いレベルでマスターすることでしょう。必ず将来、ハリウッド映画に出演するだけの素養の持ち主です。彼の成長も大変楽しみです。そして、心から応援いたします。

 

n         「ぜひ、話題のヒット作!つくりましょう」(編集者さんからのメッセージ)

 

このメッセージには涙が出るほど励まされました。と、言うのも、この年末年始、執筆の仕事が重なり、ほぼ毎日会社に泊まりで書いていました。静まり返った東京の街並みを眺めては「もしかして、今働いているの、私だけ?」と、ちょっと寂しい気持ちにもなりました。しかし、元旦にこのメッセージを手にした途端、このお話を頂戴した時の感動がよみがえってきました。もともと、文章を通して人を幸せにすることが大好きな私が、年はじめから執筆できていることは、辛いことではなく、大変嬉しいことなのだと気づきました。心が穏やかでなければ、よい文章とは書けないものです。このメッセージに活力を貰い、今度は、自分の文章で、2009年、みんなに元気をあげる番です。4月には、きっと皆様のお手元に、素敵な一冊が届くはずです。

 

人の言葉ってすごいです。そして、手書きのメッセージにはメールやe-カードにはない心が感じられます。

 

まだまだ、未熟な野村とHOPESではございますが、これからの1年、是非見守っていて下さい。私たちも、全力で、皆様の『夢の実現化』のためにお手伝いさせて頂きます。

 

本年もよろしくお願い申し上げます。

 

野村るり子