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第二百三十言「『大人になった』って感じる瞬間。それは、万人のアドバイスを素直に受け入れられた時と、私は考えます」(2009年2月23日号)

本当に、嬉しいNewsが連続で飛び込んだ一週間でした。

 

HOPES会員番号一桁(すなわち、HOPESの古株さん)の女性が、数千万規模のビジネスコンペに勝ったという朗報を耳にしたのも、同じく会員番号一桁の青年が、自らが主演を務める舞台の千秋楽を大好評のうちに迎えたのもこの週でした。

 

9年前、上で紹介した女性は大学三年生、青年はまだ高校生でした。当時の彼らにはお教えしなければならないことがたくさんありました。しかし今、彼らは私にとってのコンサルタント役となっています。会社を経営していく上で、問題に直面した時は、決まって、彼らに相談をします。彼らの鋭い思考力や密度の濃い生き方から導き出されるアドバイスの数々からは、複数のビジネス本を読むより多くのことを学べることがあります。

 

ここまで読んで下さった方の中には、「えぇ~、野村先生は、教え子にアドバイス貰うのですか~?」と質問したい方もいるでしょう。答えは単純明快。はい!その通り。私は優れた教え子を自分の師だと考えています。それだけでなく、これまでに出会った全ての人を自分の師となりうる人として見ています。それが仮に幼稚園児であったとしても。

 

例えば、「野村の一言」のタイトル翻訳は、在米の中学生に依頼しています。日本人の両親を持つ彼女は家庭内では正しい日本語を使い、学校では正しい英語を使うことを心がけています。お陰で、日本語特有のニュアンスも英語特有のニュアンスも十分理解し、英語力においては、全米のトップ10%に入っています。このように、その人の能力を証明するものがあれば、仮に相手が10代の若者であれ、私は頭を下げて教えを被るようにしています。

 

このように、私が誰からも教えを被ろうと思えるようになった背景には、清風高校体操部部長の山口彦則先生と元法政二校バレーボール部監督の馬場信親先生の存在があります。両氏は、常に優れた教え子について情熱的に語って下さいます。表現は個々で異なるにせよ、お二人とも「教え子の中には、惚れ惚れするような若者がいる」といった内容を話して下さいます。

 

さて、この辺で、今回の野村の一言のタイトルについて触れておきましょう。私は、221日に行われたSocial Action Schoolの全国大会において、日本銀行静岡支店長の武藤清氏や参議院議員の鈴木寛氏と同席させて頂き、地域大会で勝ち残った4チームの政策提言プレゼンテーションを聴き、感想を述べる機会を得ました。この大会の最後に行われた交流企画で出されたディスカッションテーマの一つが「『大人になった』って感じる瞬間っていつ?」というものでした。

 

多くの若者たちの意見を聞いているうちに、ふとある考えが浮かびました。それは、私の人生において「大人になったつもりの瞬間」と「大人になった瞬間」が全く異なっていたということです。前者は、親や教師といった目上の人の教えを鵜呑みにするのではなく疑問を感じられた瞬間でした。そして、後者は、相手の年齢や性別、所属や地位といったものに関わることなく、万人の優れた意見を素直に受け入れる自分と出会った瞬間ではないかと思います。

 

果たして今の自分が大人か?と問えば、答えに困ります。しかし、少なくとも、山口先生や馬場先生といった偉大な指導者との出会い、そして、優れた教え子たちとの出会いが日々自分をより大人らしい生き方に近づけてくれていることは確かでしょう。

 

人は、成人式で大人になるのでも、社会人になって大人になるのでも、結婚して大人になるのでも、子どもを持って大人になるのでもなく、万人の声を冷静に受け止める「大人の耳」を持った時に、大人になるのではないでしょうか。

 

 

野村るり子

第二百二十九言「Vuittonは裏までVuitton。こだわり続けることがブランド価値維持につながる」(2009年2月16日号)

かなり長い間、私はルイ・ヴィトンのブランド価値を誤解していました。

 

ヴィトンが売れるのは、いわゆるLVマークに惹かれ、多くの人が購入するのだと思っていました。多くの同僚がヴィトンのバックを持ち歩いていた頃は、「意地でも買うものか」と、頑なに購入を拒み続け、ショップにすら足を運びませんでした。

 

それが、数年前になって、教え子の一人が、大きなヴィトンバックを見せにきました。

「先生ついに買いましたよ。清水の舞台から飛び降りる気持ちでした」と誇らしげに語りました。

 

彼は、10代から役者の世界に入り、現在はミュージカルやテレビドラマでも主役を務めるところまで、地道に努力してきた青年です。長年彼の生き方を見てきた私は、この青年が選ぶものなら、そうは悪くないだろう、と思い、はじめてヴィトンショップに足を運びました。なんともヴィトンデビューとしては遅い話です。

 

一度こだわると、納得いくまで質問するタイプですので、自分が満足できるまでショップの方にお付き合い頂きました。そのお陰で、ヴィトンの柄よりも機能性や耐久性に興味を持つようになりました。また、実際使用してみて、耐久性には本当に助けられました。

 

仕事柄、重い書類をバックに入れて移動するので、バックの劣化は一般の女性とは比較にならなかったと思います。ヴィトンと出合う前までは、はやいときは数週間で、長くても1年もすればバックを買い換えなければなりませんでした。

 

その点ヴィトンは、重量にも耐え、雨や雪にも強く、長期にわたり使用が可能です。それでいて、使い込んでいくうちに、なめし革部分がほどよく飴色に変り、愛着がわいてきます。

 

私が新たに感動したのは、裏地素材の防水性と防汚性です。ある日、手が滑って、机にあった飲み物をバックの中にこぼしてしまったことがあります。一瞬、はっとしましたが、その後、じ~っと眺め「これで買い替えか」と落胆しました。その間に数分経ち、ダメもとと思いながら、固く絞ったタオルで拭いてみました。すると、見事に汚れは落ち、シミ一つ残りませんでした。

 

これって、凄いことではないでしょうか。人は、人の目につくところには拘るわりに、人の目には触れない部分ではついつい手を抜きそうなものです。しかし、ヴィトンはこうやって細部にまで気を配っているのです。この拘りこそが、1800年代から今までブランドを守り続けた根底にあるのではないでしょうか。デザイン性だけでも、多くの根強いファンを持つ今、トランク工場として創始された原点を忘れず、耐久性や防水性といったものも諦めない姿勢。これは、ビジネスに限らず全ての人間がまねるべきポイントではないかと思います。

 

野村るり子

第二百二十八言「今の世界経済はタイタニック号。あなたが船長なら全員船に残しますか?それとも、何人か救いますか?」(2009年2月9日号)

Titanic the Musical を観て来ました。

 

隣で観ていた大学院生が、大学院卒業後、起業を考えていることを思い出し、観劇後、ちょっと難しい質問をしてみました。

 

「君だったら女性だけ救命ボートに乗せる?」

「それとも、男女全員一緒にタイタニック号に残る?」

「それとも、女装して、女性と一緒に救命ボートに乗ってしまう?」

 

なんとも究極の選択です。この日、結論は出さずじまいで、私はこの学生とは別れました。

 

実は、この週末、タイタニック号の究極のシーンに似た質問をビジネスパーソンにもしていたところです。

 

「企業は全社員を終身雇用にすべきか否か?」

 

色々な答えがある中、大変印象に残ったのは、ある会社経営者の答えでした。

 

「会社の方針に従える社員は終身雇用をする。方針に従えない人は、終身雇用にはできない。方針に従えない数名を救うために、会社全てが破綻することの方が社会に損失をあたえる」

 

このテーマに対する唯一の答えを出すのは大変難しいです。しかし、大方私も、この会社代表者の意見に賛成でした。私は常に自分に問いかけるようにしています。「会社は誰のもの?」と。

 

「株主のもの?」・・・NO

「社長のもの?」・・・NO

「社員のもの?」・・・NO

「顧客のもの?」・・・YES! 

 

これが私の答えです。この答えが永遠に不変であるとは言い切れません。しかし、この大不況の中、提供しているものやサービスを維持できない状態で、株主、社長、社員を守ることは、エゴイスティックな経営のように思えるのです。

 

では、商品やサービスを維持するためには何が必要でしょう。それは、社員が、会社の指針に従い、同じ方向に向かって走ることではないでしょうか。もし、会社の中に、会社の指針に従うことのできない人がいるなら、その人たちには他の道を選んでもらうしかないでしょう。問題は、会社の指針に従い、同じ方向を向いてきた社員をどのように救うかです。これは、今後、企業と国とが手を取り合って解決しなければならない問題です。

 

さて、最後に、Titanic the Musicalの最後のシーンについて触れておきましょう。船が沈む中で、個々人の思いはそれぞれ異なっていました。

l         主任設計士は自分の設計のミスを悔います。

l         バンドマスターは残った乗船客のために最後まで楽器を弾きます。

l         船長は最後まで幸福であった人生を振り返ります。

l         そして、一等船客の一代で富を築いた大富豪たちは、これまでの人生で直面してきた数々のできごとを、面白おかしく語り合います。

 

最後の最後までプロとしてのプライドを捨てなかった人たちの中に、「未来ある女性と子どもを救う」という船長の意思決定を攻めるものはいませんでした。また、この中の誰が船長であったとしても「全員で沈む」という意思決定はしなかったでしょう。

 

皆さんも、タイタニック号の究極の選択のシーンを思い浮かべながら、あなたならどうするか考えてみて下さい。

 

野村るり子

第二百二十七言「超勉強法・・・それって、あなたが見つけるものではないですか?」(2009年2月2日号)

「なんか、いい勉強法ありませんかねぇ?あったら教えて下さい」

仕事柄、よくこのような質問を受けます。

 

質問者が小学生や中学生なら、迷わず、比較的成功率の高い方法をいくつか紹介してあげます。

 

質問者が高校生や大学生なら、いくつかの勉強法を紹介し、「あとは自分であったものを選んで下さい」と伝えます。

 

質問者が社会人の場合。特に30歳を過ぎた方なら、

「ご自身にあった方法をご自身が見つけることが一番ですよ」と答えます。

 

この、社会人向けの回答を見て「野村先生、いじわる~」と感じた方のために、その理由をお伝えしておきましょう。

 

人にはそれぞれ、特徴があり、その特徴にあった勉強法を自ら見つけない限り、結果には結びつかないからです。生きてきた年数の短い小学生や中学生ならともかく、ご自身と30年も付き合ってきた方なら、誰よりも自分のことをご存知でしょう。であるなら、他力本願で勉強法を探すより、主体性を持って探した方が効果的な方法と出会えるはずです。

 

先日、大変向学心旺盛な友人から「『1日30分』を続けなさい!人生勝利の勉強法55」(古市幸雄著 マガジンハウス)を頂戴しました。この書籍を読み終わって感じたことは、「9割が、今自分が推奨している方法と一致している!」でした。

 

この書籍は、古市氏ご自身の体験に基づいて書かれおり、実体験で得た成果を裏づけに「推薦する方法」を紹介していらっしゃいます。そしてその多くが、高い目標を持って、それを達成してきた人達の推薦する方法と一致しています。おそらく、何かを極めようという人は、究極のところ同じような勉強方法にたどり着くということでしょう。以下がその例です。

 

   通勤電車は、数駅もどっても始発に乗って、座って勉強しよう!

   カフェでコーヒーを頼んで勉強場所を確保しよう。耳栓をすれば音も気にならない!

   テレビは見ない。見ても録画で、CMは飛ばそう!

 

多くが、学習者の視点で探し出した方法ですので、コーヒーショップのオーナーさんや、CM提供者には「ごめんなさい」と言わなければなりません。しかし、今すぐにでも容易に挑戦できる勉強方法であることは確かです。

 

では、自分が推奨する勉強法と異なっている1割はなんでしょう。これは、自分の特徴やこだわりによって出る差です。

 

例えば、古市氏が推薦する耳栓やスケジュール帳のブランドが、自分が使い勝手がよいと感じているものと異なっていたというような、些細な部分です。

 

過去にこんなアンケートを取ったことがあります。全米トップ10の大学院に合格した人たちに「どんな教材使われましたか?」と伺ったところ、全員が共通して使用していた教材がありました。それは、TOEFLGMATGREの過去問題集でした。確かに、実際に出題された問題を繰り返し解いたり、分析したりするのは大変効率的な方法です。

 

しかし、過去問題集の他に使用したプラスアルファーの教材は、個々人で異なっていました。すなわち、ここからはご自身にあった教材をそれぞれが見つけ出し、それぞれの勉強方法で結果に結びつけたということでしょう。

 

自分にあった勉強法を探すなら、他力本願ではいけません。主体性を持って見つけ出さない限り、結果には繋がらないでしょう。

 

これは、野村の意地悪ではなく、野村の愛情と思って受け止めてください。

 

野村るり子