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第二百二十九言「Vuittonは裏までVuitton。こだわり続けることがブランド価値維持につながる」(2009年2月16日号)

かなり長い間、私はルイ・ヴィトンのブランド価値を誤解していました。

 

ヴィトンが売れるのは、いわゆるLVマークに惹かれ、多くの人が購入するのだと思っていました。多くの同僚がヴィトンのバックを持ち歩いていた頃は、「意地でも買うものか」と、頑なに購入を拒み続け、ショップにすら足を運びませんでした。

 

それが、数年前になって、教え子の一人が、大きなヴィトンバックを見せにきました。

「先生ついに買いましたよ。清水の舞台から飛び降りる気持ちでした」と誇らしげに語りました。

 

彼は、10代から役者の世界に入り、現在はミュージカルやテレビドラマでも主役を務めるところまで、地道に努力してきた青年です。長年彼の生き方を見てきた私は、この青年が選ぶものなら、そうは悪くないだろう、と思い、はじめてヴィトンショップに足を運びました。なんともヴィトンデビューとしては遅い話です。

 

一度こだわると、納得いくまで質問するタイプですので、自分が満足できるまでショップの方にお付き合い頂きました。そのお陰で、ヴィトンの柄よりも機能性や耐久性に興味を持つようになりました。また、実際使用してみて、耐久性には本当に助けられました。

 

仕事柄、重い書類をバックに入れて移動するので、バックの劣化は一般の女性とは比較にならなかったと思います。ヴィトンと出合う前までは、はやいときは数週間で、長くても1年もすればバックを買い換えなければなりませんでした。

 

その点ヴィトンは、重量にも耐え、雨や雪にも強く、長期にわたり使用が可能です。それでいて、使い込んでいくうちに、なめし革部分がほどよく飴色に変り、愛着がわいてきます。

 

私が新たに感動したのは、裏地素材の防水性と防汚性です。ある日、手が滑って、机にあった飲み物をバックの中にこぼしてしまったことがあります。一瞬、はっとしましたが、その後、じ~っと眺め「これで買い替えか」と落胆しました。その間に数分経ち、ダメもとと思いながら、固く絞ったタオルで拭いてみました。すると、見事に汚れは落ち、シミ一つ残りませんでした。

 

これって、凄いことではないでしょうか。人は、人の目につくところには拘るわりに、人の目には触れない部分ではついつい手を抜きそうなものです。しかし、ヴィトンはこうやって細部にまで気を配っているのです。この拘りこそが、1800年代から今までブランドを守り続けた根底にあるのではないでしょうか。デザイン性だけでも、多くの根強いファンを持つ今、トランク工場として創始された原点を忘れず、耐久性や防水性といったものも諦めない姿勢。これは、ビジネスに限らず全ての人間がまねるべきポイントではないかと思います。

 

野村るり子

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