株式会社ホープス
〒107-0062
東京都港区南青山6-12-3
南青山ユニハイツ701号室
- 第二百七十三言「なんで、この仕事をしているかって?それは、仕事の本質が好きだからです」(2009年12月21日号)
- 第二百七十二言「年末年始、体の郵便配達さんを無視しないでね」(2009年12月14日号)
- 第二百七十一言「『十二人の怒れる男』を見て。プロ×プロ=スーパー作品」(2009年12月07日号)
- 第二百七十言「子どもは無限の力を持っている。声がけには気をつけて!」(2009年11月30日号)
- 第二百六十九言「ついに発売決定!、『3年あれば天才は育つ! 親も気づかない才能を「見つける」「引き出す」方法』(経済界)」(2009年11月23日号)
- 第二百六十八言「休憩と遊び。これが業務効率アップの秘訣」(2009年11月16日号)
- 第二百六十七「同窓会幹事の母たち」(2009年11月9日号)
- 第二百六十六言「マイケル・ジャクソンは King of Pop? それ以上です。Godです」(2009年11月2日号)
- 第二百六十五言「過ぎたるは及ばざるがごとし」(2009年10月26日号)
- 第二百六十四言「『装丁家』というお仕事。本に着せる洋服のデザイナー」(2009年10月19日号)
第二百四十四言「研修期間は、ゼロでなくマイナス。辞める!のは、ご恩返ししてから。」(2009年6月1日号 No.244)」
これは、錯覚でないはず。確実にこの時期(4月、5月、6月)、胸や腕に「研修中」マークを付けて働いている人が増えています。先日は、郵便局で若い女性が。本日は、タクシー運転手さんが。また、バスの運転手さんまで・・・。
本日、私は、はじめて、ここ数十年利用しているお気に入りのタクシー会社にクレーム電話を入れました。タクシー運転手さんと仲良くなるのが趣味の私にとって、乗車中に憤りを感じることなんてめったにありません。皆無といって言いぐらいです。その私が、本当に、ムカっときたわけです(幼稚な表現でごめんなさい)。
いつも電話で配車を頼むタクシーですが、迎えに来た運転手さんの腕には「研修中」の腕章が。横浜に住む私は、その車で、早稲田大学・西早稲田キャンパス(新宿区)、に向かうところでしたが、一抹の心配が頭をよぎりました。
「あの、私、最寄の駅とかに行くのではなく、早稲田大学まで行くのですが、大丈夫ですか?」
質問の意図は、単純。もし、道が分からない運転手さんであれば、他の車を配車してもらおうと考えました。しかし、運転手さんは「あ、あの。地図見させてもらっていいですか?」と言って、必死でページをめくり出しました。しかし、そのうち、焦りだしたのか、どのページを見ていいのかも分からぬ様子になりました。私は、再度、「もし、ご存知なければいいですよ」と、車を降りる用意をしました。
すると、運転手さん。「分かりました。では、東京まで走らせ、早稲田大学の分かる車と代わります」と言って、東京に向かって車を出しました。そして、多摩川を越えたぐらいで、他のタクシー会社の車を止め「この人をお願いします」と言い残し、帰って行きました。
突然バトンタッチされた運転手さんも、なぜか、新宿区近辺が苦手らしく、ナビをつけても、ぐるぐると迷い、目的地についたのは、出発してから2時間近く経ってから。料金は通常の倍になっていました。私が残念に思ったのは、料金のことより、仕事に遅刻したことです。なぜなら、相手の方を何十分も待たせてしまったからです。
私が、タクシー会社に入れたクレームは、道が分からなかったことに対してではありません。「分からないことを、分からない」とおっしゃらなかったことに対してです。また、責任を他のタクシー会社の運転手さんに押し付け、走り去ったこと。このようなサービスで客が失うのは、お金ではなく「貴重な時間」。それによって失うのは、仕事のディールや顧客からの信用。自分よりもっと時間価値のある方だったら、30分のロスは計り知れない。・・・
しかし、当然ながら、このクレームを受けているのは、運転手さんではなく、クレーム処理担当者です。総合的に言えば、会社全体です。
と、こんな日は、同じようなことが重なるものです。タクシーにちょっと懲りた私は、今度はバスに乗ることにしました。すると、こちらの運転手さんの腕にも「研修中」の腕章が。隣には、指導担当者が立っていいました。
これもめったにない体験ですが、なんと、この新人運転手さん、神宮球場附近の上り坂で、エンストを起こしました。そして、またエンスト。そして、またエンスト。合計4回エンストを繰り返しました。その度に、数十センチ後退。
乗客は、「運転代わってあげればいいのに」、「こんな経験はじめてだ」、「このバスの後ろの車大変だよな」・・・とブツブツ。それでも、指導担当者は、じっとこらえ、この新人くんに最後まで運転させました。5回目にエンジンかかった時は、車内で拍手が沸きあがるほど。それを体験し、なんと、この新人君は、ニコニコ顔(いったい、事態を把握しているのだろうか?)。やっと終点に着くと、待っていた客の、「遅いよ。どれだけ遅れてんだ!」の怒鳴り声。これに最初に頭を下げたのは、新人君ではなく、指導担当者。
ここで、読者の皆様に質問です。ここで辛いのは誰でしょう?
辛いのは新人さんだけではないのです。指導員も辛いのです。そして、クレーム処理係も。また、これらの人たちに人件費を払っている会社も。
そうなのです、新人さんを育てている期間、会社は、生産性ゼロではなく、マイナスの損失が発生しているものなのです。このメカニズムを理解して頂ければ、数ヶ月や、数年で「辞めます!」なんて辞表出せなくなりますよね。
世の新人さんたちに声を大にして伝えたい。
「あなたが育てられている間、何人の人があなたに代わって、頭を下げているかを考えて下さい。そして、多額の、教育費がかかっていることを。『辞める!』と叫ぶ前に、まずは、会社に恩返しして下さい。せめて、4年、5年、できれば6年以上働いて下さい。そうすれが、きっと気づくはずです。新人トレーニングがどれほど大変か?なぜなら、あなたも、誰かを指導する立場になっているからです。
野村るり子
