株式会社ホープス
〒107-0062
東京都港区南青山6-12-3
南青山ユニハイツ701号室
- 第二百七十三言「なんで、この仕事をしているかって?それは、仕事の本質が好きだからです」(2009年12月21日号)
- 第二百七十二言「年末年始、体の郵便配達さんを無視しないでね」(2009年12月14日号)
- 第二百七十一言「『十二人の怒れる男』を見て。プロ×プロ=スーパー作品」(2009年12月07日号)
- 第二百七十言「子どもは無限の力を持っている。声がけには気をつけて!」(2009年11月30日号)
- 第二百六十九言「ついに発売決定!、『3年あれば天才は育つ! 親も気づかない才能を「見つける」「引き出す」方法』(経済界)」(2009年11月23日号)
- 第二百六十八言「休憩と遊び。これが業務効率アップの秘訣」(2009年11月16日号)
- 第二百六十七「同窓会幹事の母たち」(2009年11月9日号)
- 第二百六十六言「マイケル・ジャクソンは King of Pop? それ以上です。Godです」(2009年11月2日号)
- 第二百六十五言「過ぎたるは及ばざるがごとし」(2009年10月26日号)
- 第二百六十四言「『装丁家』というお仕事。本に着せる洋服のデザイナー」(2009年10月19日号)
第二百五十六言「たたみ一畳で、才能は開花する」(2009年8月24日号)
本日は、私の人生に大きな影響を与えた、ベラ・カロリーと、マルタ・カロリー夫妻のエピソードを一つ紹介させ頂きます。
ルーマニアで成功を遂げたベラとマルタが、国家の制度が全く異なるアメリカに亡命したのは1981年のことです。それから、わずか3年でメアリー・ルー・レットンを発掘・育成し、1984年のロス・アンゼルスオリンピックで優勝させました。アメリカの女子体操選手が女王に輝いたのは歴代初のことでした。
ベラとマルタが、アメリカでのトレーニングを開始した時、最初に求められたのは何だったでしょうか?それは、"アメリカの体操界におけるトレーニング制度の改革"でした。
「今後、ソビエトやルーマニアと対等に戦っていくには、これまでのような1日3時間のトレーニングでは不十分。1日6時間のトレーニングに切り替えなければならない」By Bela Karolyi
ベラは、身近なところから制度改革を開始しました。まずは、彼らが売却した体操クラブの保護者を集め、登校前の朝練習と週末のトレーニング時間延長を説得しました。同時に、体育館近くの私立校を訪れ、体操競技のトレーニングで同様の教育効果が得られると考えられる科目の受講免除を交渉しました。その結果、ベラとマルタが選抜する選手は、体育や音楽の受講が免除され、その時間を体操競技のトレーニングに充てることができました。遠征の多い選手に関しては、家庭教師制度や通信教育制度の導入を勧めることで、移動時間を勉強に充てさせました。
ここで皆さんに持ってもらいたいのは、才能を育てる上での環境が整っていないからといって、すぐに諦めない心です。
まずは、時間確保について考えてみましょう。子どもの才能を開花させるには、学習にかける時間を確保しなければなりません。そこで、保護者の皆さんには、タイムマネジメント力を身につけて頂きたいと思います。
子どもの生活の中に、学業と習い事の時間を組み入れ、十分な睡眠時間と食事の時間を確保するのが基本です。その他、学校の宿題をする時間も必要です。このように、考えると、1日24時間では足りないように感じますが、実はそうでもないのです。大切なことは、細切れの時間をどう使うかです。
登校前の15分~30分。昼休みの30分。移動時間の30分。このような短い時間での学習も積み重ねて行けば十分な力となります。
学習の内容は「まとまった時間が必要なもの」と「短い時間で実施可能なもの」と分けておきましょう。そして、前者には60分や120分といった時間を確保し、後者は余暇に組み込んで行けばいいのです。
次に、練習スペースの確保について考えてみましょう。ここで、アメリカでもオリンピック金メダリストを誕生させたベラとマルタが、実は思いのほか小さな体育館で選手育成を行っていたことに触れておきましょう。
ベラとマルタが亡命後、直ぐに手に入れた体操クラブは、跳馬の助走路がかろうじて取れる程度の小さなものでした。その体育館で、一般クラスから選手コースまで、全てを教えていました。
ここで、皆さんに気づいて頂きたいのは「天才」を育成する上で、大きなスペースは必要でないということです。テニスコートや50メートルプール、何ヤードもあるゴルフ場が即必要になるわけではありません。特に、幼少時のトレーニングにおいては、子どもの身体を自由に動かせるスペースさえ確保できれば十分です。
音楽の才能を開花させる上で、最初からグランドピアノが必要なわけではありません。バレエの才能を開花させる上で、最初からバレエスタジオが必要なわけではありません。ノーベル賞受賞者が、子どもの頃から専用の実験室を持っていたわけではありません。
自宅より広いスペースが必要と思うなら、公共施設を思い出して下さい。公園や児童館、市営体育館や陸上競技場といったものは、きっと皆さんの家の周りにあるはずです。
「うちにはピアノを置くスペースがない」とおっしゃるなら、キーボードやローリングピアノを検討してみて下さい。ご近所迷惑を考えるなら、消音装置を利用して下さい。
諦める前に、まずは、考えることです。
パパとママが一生懸命働いて、大きなお家に住めるようになったら、グランドピアノを買ってあげましょう。それまでの辛抱よ。
こんな優雅なことを言っている間にも、子どもは成長しています。子どもの成長期は待ってくれないのです。大切な成長期を逸してから「さぁ、才能を開花させましょう!」では遅いのです。
子どもが才能を開花させられないのは、スペースのせいではありません。何かを理由に、トレーニングの開始時期を先送りにする保護者の心が問題なのです。もし、子どもに才能があると感じ、さらに、その子どもにやる気が見えるのであれば、学ぶチャンスを与えてあげてください。時間の問題もスペースの問題も、あなたの工夫一つで全て解決するはずです。
野村るり子
