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第二百五十八言「『正しいも』のから『良いもの』が生まれるわけではない」(2009年9月7日号)

ここ何日間か、偶然にも、映画製作に関わるイベントへの参加が続きました。

 

93日(木)には、東京大学・安田講堂で行われた公開講座にて、『TAJOMARU』の中野監督、山本プロデューサー、亀山プロデューサーや、俳優の小栗旬さん、柴本幸さん、田中圭さん、やべきょうすけさん、萩原健一さん、の特別講義を拝聴してきました。

 

4日(金)には、一流の俳優や女優をプロデュースし続けているタレントエイジェントの代表者や、ハリウッドで映像の研究を深めてきたプロデューサー、バイリンガル俳優のキャスティング会社の代表者、NYで演技の研究を深めてきた演劇コーチ、そして、ハリウッド俳優を目指す青年との会合の場に参加させて頂きました。

 

さらに、5日(土)には、女優を目指す少女の宣材写真撮影にも関わりました。

 

これら、全てを通して、私が知りえたことは、「映像とは戦略的に撮ればよい作品が生まれるわけではない。偶発的に優れた作品が撮れることがある」という事実でした。

 

「正しいものから良いものが生まれるわけではない」

これは、東京大学の公開講座での山本又一郎プロデューサーの大変印象的な一言です。

 

シューティングの数分前にざっと脚本に目を通し役作りした役者の演技が、何日もかけてじっくりと役作りした時の演技を上回ることもある。どこで、よい画(え)が撮れるかはわからない。だから、フィルムをまわし続ける。多くの場合、偶発的に優れた作品が出来上がることがある、ということでした。

 

スポーツ指導を長年していると、練習量が結果に直結していることが分かります。すると、ついつい「努力」することを高く評価してしまいます。しかし、映像の世界では、あまり稽古をつけていない役者の演技からも、人の心に衝撃を与える優れた作品が出来上がるというのです。

 

そして思い出したのが、2004年に公開された、是枝裕和監督の『誰も知らない Nobody Knows』です。この作品では、主演の柳楽優弥さんがカンヌ国際映画祭で史上最年少及び日本人として初めての最優秀主演男優賞を獲得しました。が、彼もこれが初の映画作品でした。

 

きっと、今の私に求められているのは、既存の「正しさ」ばかりを追い求めるのではなく、偶発的に生まれる「良さ」にも目を向けることなのでしょう。

 

野村るり子

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