株式会社ホープス
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- 第二百七十三言「なんで、この仕事をしているかって?それは、仕事の本質が好きだからです」(2009年12月21日号)
- 第二百七十二言「年末年始、体の郵便配達さんを無視しないでね」(2009年12月14日号)
- 第二百七十一言「『十二人の怒れる男』を見て。プロ×プロ=スーパー作品」(2009年12月07日号)
- 第二百七十言「子どもは無限の力を持っている。声がけには気をつけて!」(2009年11月30日号)
- 第二百六十九言「ついに発売決定!、『3年あれば天才は育つ! 親も気づかない才能を「見つける」「引き出す」方法』(経済界)」(2009年11月23日号)
- 第二百六十八言「休憩と遊び。これが業務効率アップの秘訣」(2009年11月16日号)
- 第二百六十七「同窓会幹事の母たち」(2009年11月9日号)
- 第二百六十六言「マイケル・ジャクソンは King of Pop? それ以上です。Godです」(2009年11月2日号)
- 第二百六十五言「過ぎたるは及ばざるがごとし」(2009年10月26日号)
- 第二百六十四言「『装丁家』というお仕事。本に着せる洋服のデザイナー」(2009年10月19日号)
第二百六十二言「キャスティング・ディレクターという職業をご存知ですか?映画製作の鍵を握る職業です。」(2009年10月05日号)
パトリック・ウェイン・スウェイジ(Patrick Wayne Swayze)の訃報を受けて、各種メディアは、「ゴースト/ニューヨークの幻 Ghost (1990)」で主演を務めた俳優と報じました。
その日私は「スウェイジは、ゴーストの遥か7年前に、フランシス・フォード・コッポラによって発掘していた!」と叫んで周りました。
私がスウェイジの演技を始めて見たのは、1983年に発表された映画『アウトサイダー The Outsiders』で、でした。コッポラが、当時無名だった役者を何人も起用し、その後、彼らのほぼ全員が映画で主演をはるようになりました。以下が『アウトサイダー』のキャストの一例です。
パトリック・ウェイン・スウェイジ
C・トーマス・ハウエル、
ラルフ・マッチオ、
マット・ディロン、
ロブ・ロウ、
ダイアン・レイン、
エミリオ・エステヴェス、
トム・クルーズ。
しかし、今になって、私は大きな勘違いに気づきました。彼らをキャスティングしたのは、コッポラではなく、フレッド・ロス(Fred Ross)というキャスティング・ディレクターであったということです。
フレッドは、UCLAで映画を学び、アメリカのエンターテイメント企業MCAの郵便ルームを初の仕事に、その後チャンスを掴み、上り詰めてきた人です。
「自分にはテイストを見極める目がある。キャスティングに強い自信がある」と自負する通り、ロスには優れた洞察力と何時間もかけて最高の配役をする忍耐強さがありました。Petulia(1968)のキャスティングに始まり、次々とイメージにあった配役をしていきました。
コッポラがロスに声をかけたのは『アメリカン・グラフィティ』(American Graffiti 1973年)のキャスティングにあたってです。
『アウトサイダー』に関しては、無名俳優や女優を集め、何種類もの役を演じさせました。通常のカメラテストではなく、何人かが組になっていくつかのシーンを繰り返し演じました。
「○○君、そのまま残って。△役に、×君入って!」といったように、何回も組み直し、これだ!と思えるキャスティングが決定するまで、シナリオ片手の俳優は演技をし続けました。
イメージにぴったりとあった俳優は「よし、終わり。結果待ってて!」と、あっさり帰らされました。その一人がマット・ディロンでした。後に、ディロンは「早い時間に帰らされたから、絶対落ちたと思ったぜ」と語っています。
また、主演を務めたC・トーマス・ハウエルも、かなり早い時点で、ロスの頭の中ではキャスティングされていたようです。
「トーマス残って。他入れ替わり!」と、ハウエルを中心にシーンの練習を繰り返したため、同じオーディションに参加した俳優たちは、ひそかに「あの役は取られたなぁ」と感じていたそうです。
私は、この世の中には、天才的な洞察力を持つ人間が存在すると思います。この洞察力を持った人間は、スポーツ選手のスカウトや、タレントのスカウト、そして、ロスのようなキャスティング・ディレクターで生計を立てられるでしょう。
ロスを例にあげるなら、彼は世の中のトレンドに流されることなく、独自の評価基準を持っており、人選にブレがありません。彼らは「著名だから」といった理由では、人を選びません。その証拠に、当時著名のシンガーだったリーフ・ギャレットは最初のシーンに登場しただけ。また、当時、もっとも売れっ子だったスコット・ベイオはキャスティングから外されました。
このように眼力を持ったロスは、自分が才能を発掘した5年後、10年後、はたまた20年後に、その役者が脚光を浴びたとしても「あれは、その昔、僕が選んだんだよ」といった、野暮なことは言わないでしょう。なぜなら、常に前向きに原石を探し続けているからです。
私も、この原石探しを天職とできたら、どんなに幸福なことでしょう。
野村るり子
