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第二百七十言「子どもは無限の力を持っている。声がけには気をつけて!」(2009年11月30日号)

都バス社内での出来事です。

 

眼の前に、3歳ぐらいの男の子と、そのお母様と思える女性が一人いらっしゃいました。

 

男の子は、女性に向かって、たくさん質問をしていました。

「ママぁ、何で今日は、パトロールカーがたくさん走ってるのぉ?」

「ママぁ、どうしてバスの上には、みんな、数字がついてるのぉ?」

・・・

 

なんでぇ?やどうしてぇ?が永遠に続きそうな、男の子の質問に、この女性は、一生懸命答えていました。分からないことがあると、「ママも考えてみるねぇ」や「ママも調べてみるねぇ」と答えていました。すると、男の子は納得したかのように、「そっか」と言って、次の質問に入ります。

 

そのうち、男の子は、

「ママぁ、しりとりしようかぁ」と言い出しました。

女性が最初に発した言葉の語尾は、「お」でした。しかし、男の子は、即答を繰り返すものの、彼の口からは「お」で始まる言葉はなかなか出てきませんでした。

 

「あ」で始まったり、「う」で始まったり、全て「あ・い・う・え・お」の中には含まれているのですが、ニヤミスっ!といった感じです。

 

女性は「今の『お』じゃないよ。『あ』だったよ」や、「今の『お』じゃないよ。『う』だったよ」と、何回も、何回も答え、男の子が自力で「お」のつく言葉を見つけるまで待っていました。

 

そして、児童館の前の停留所で、手をつないで降りていきました。

 

この光景を拝見していて、私は拍手をしたい気持ちになりました。100点満点の子育てママです。子どもの「なぜ」に答える。自分が分からない時は、その事を認め、子どもがどんなに小さくても相手を尊重し「調べるね」と説明をする。こんな素敵なお母様に育てられた男の子は、将来どんどん成長して行くでしょう。

 

一方、とっても残念な光景を電車の中で目にしました。

 

こちらは、3歳ぐらいの女の子とそのお母様と思える、女性です。活発な女の子は、女性が見つけた電車のシートに座らず、どうしても立っていたかったようです。脚も強そうでしっかりしているので、そのまま立たしておいてもよいな、と私は思って見ていました。すると、そのうち、耳を覆いたくなるような女性の声が聞こえてきました。

 

「言うこと聞かないと殴るよ!」

「親の様子伺うのもいい加減にしなよ!」

・・・

 

あげくの果てには、子どもの脇をつかみ、投げるように、電車のシートに座らせました。

 

「あんたと一緒にいるのが苦痛。ママはあんたと一緒にいるのが苦痛。分かるかぁ!」と怒鳴りました。

 

今回の二つの光景。どちらも3歳ぐらいのお子様です。みんな、無限の力を持ったダイヤモンドの原石です。このお子様の才能を磨くも磨かないも、大人たちの声がけにかかってきます。

 

これらのお子様たちの10年後を考えてみて下さい。質問に丁寧に答えてもらえ、一緒に考えてもらえ、自分で答えを見出すまで待ってもらえた子どもは、明るく素敵な青年へと成長していくことでしょう。

 

一方、母親に、「殴るよ!」と脅されたり、「一緒にいるのが苦痛」と言われたりして育ったお嬢さんは、10年後どうなっているでしょう。よほど、よい出会いでもない限り、母親と同じような言語を使い、自分より力のない人を探しては、罵倒するかもしれません。また、自分の存在意義が感じられないまま、大きくなるのではないでしょうか。しかも、本日もそうであったように、眉間にしわを寄せた表情で生きていくのではないでしょうか。

 

私が『3年あれば天才は育つ!』の中でも書いた通り、子どもは無限の才能を秘めています。その才能を引き出すか否かは、周囲の大人たちにかかっていると思います。

 

子どもたちには、親を選ぶ権利がないのです。ですから、母親たちは、せっかく出会えた子どもの存在に感謝し、愛情を持って、子どもたちを受け止めてもらいたいと思います。この気持ちを、10年間持ち続けたなら、きっとあなたには、大きな贈り物が届くでしょう。

 

その贈り物とは、10年後に、大きく大きく成長した、子どもの姿です。

 

 

野村るり子

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