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第二百七十一言「『十二人の怒れる男』を見て。プロ×プロ=スーパー作品」(2009年12月07日号)

シアター・コクーンで、舞台『十二人の怒れる男』見てきました!

 

 オリジナルは、1954年にアメリカで製作された映画、「12 Angry Men」です。

 

16歳の少年が容疑者である殺人事件についての陪審員12人の心情の変化が描かれたもの。

 

最初は11人対1人で、有罪と無罪に分かれた意見が、時間の経過とともに変わっていく、法廷ものサスペンスです。

 

今回の舞台。ストーリーはオリジナルと同様のアメリカNYのままですが、キャストは全て日本人。12名の陪審員が全て主役級レベルの超ベテラン俳優でした。中井貴一さん、筒井道隆さん、辻萬長さん、田中要次さん、齋藤洋介さん、品川轍さん、西岡徳馬さん、などなど。

 

さらに、演出はなんと、蜷川幸雄氏!

 

幕があけてすぐに気づいたことは、舞台中心に活躍している俳優と映像中心に活躍している俳優の演技スタイルの違いでした。舞台中心の俳優の声は大きくメリハリがり、映像中の俳優の声はソフトな音量で発音は比較的に日常会話に近い。

 

しかし、ストーリーが進むにつれて、これらの演技スタイルの違いが、全く気にならなくなります。まるで、二本の全く太さの異なる毛糸が眼の前で巧みに編みこまれていって、気づけば、違和感のない一つの布地に完成しているような感覚でした。特に、クライマックスでの一体感は、鳥肌ものです。

 

超ベテラン俳優たちが互いのオーラを消しあわないのが本作品の醍醐味と感じました。妥協しらずの厳しい演出家でありながら俳優の個性を大切にする蜷川氏だからこそ、なせたことなのでしょう。さらに、50年以上も前の作品のリメイクなのに、なぜか新鮮に感じる。

 

それは、無理やりオリジナル作品がつくりあげた'鳥かご'に入れるのではなく、全ての俳優を一旦、かごの外に放して、徐々に蜷川マジックで一つにまとめ上げたからではないでしょうか?

 

プロとプロのコラボは、決して、プロとプロの足し算ではありません。

 

まさに、掛け算です。

 

今回の作品は、プロの12乗×蜷川幸雄氏。これで感動を呼ばないはずがありませんね。

 

野村るり子

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