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第二百九十九言「テーマ性の強い作品は時代を越える。倉本聰氏の力」(2010年6月21日号)

子どものころ見た映画やドラマが、あまりにも印象深く、何十年経っても記憶から離れない。

 

このような経験はありませんか?

 

私にも、強く心に残っている作品が二つあります。これらの作品は、平成に生きる"母たち"、"父たち"にとっても十分教材となりうる作品です。

 

一つ目の作品は、『ガラス細工の家』(1973年、日本テレビ系)です。

 

何もかも満たされているように見えている家族が舞台となっています。あることをきっかけに、小学生の息子二人が、両親への復讐を企てます。純粋な子どもたちが、復讐をするに至った動機。これこそが、このドラマでの見所です。

この作品は、DVDでも販売されていますので、是非、機会があればご覧下さい。

 

もうひとつは『君は海を見たか』(1970年、日本テレビ系・リメイク1982年、フジテレビ系)です。

 

一流企業のエリートサラリーマンが、息子の余命を宣告され、それまでの生き方を振り返るものです。残された時間を息子とのふれあいにあてます。この作品での見所は、父親自身が、造船技術研究所に勤めながら、実の息子に"海"を見せていなかったことです。

この作品もDVDで販売されていますので、ご興味のある方はご覧下さい。

 

さて、私がお伝えしたい重要なポイントはここからです。

 

実は、これら二つの作品には共通点があります。それは、両方とも、倉本 聰が脚本を手がけていることです。しかも、両方とも彼が弱冠30代半ばの時の作品です。

 

『北の国から』で倉本聰氏の名前を知った方も多いでしょう。最近では、俳優 緒形拳の最後の作品となった『風のガーデン』(2008年、フジテレビ系)が記憶に新しい人もいるでしょう。

 

しかし、倉本聰氏の脚本家としての活動は、20代の頃からはじまっていました。彼の作品づくりには、妥協や言い訳といったものがまったく感じられません。さらに、強烈なテーマは、人々の心に残り、何年の月日を経ても陳腐化することがありません。

 

これが、真の芸術家の作品づくりなのでしょう。

 

野村るり子

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