株式会社ホープス
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- 第三百三十一言「性的虐待について考える。映画『白夜行』を見て、あなたに出来ることは何か?」
- 第三百三十言「ジャパニーズドリームもありです!」
- 第三百二十九言「映画『ソーシャル・ネットワーク』を見て。才能ある若者をどうサポートするか?」
- 第三百二十八言「"美しいあなたの笑顔"を記憶に残す」
- 第三百二十七言「あけましておめでとうございます。絵馬にしっかりと文字を書く!」
- 第三百二十六言「天才少年とスケジュール帳。1日の長さに気づく」
- 第三百二十五言「受験方式は、推薦?AO? それとも、一般を選ぶ? 『子どもの生き方』と『親の生き方』について話し合うことがスタートラインです」
- 第三百二十四言「ビジネスプランコンテストで優勝するには」
第三百言「映画『告白』成功の要因を探る」(2010年6月28日号)
映画『告白』の舞台挨拶にて、中島哲也監督と、俳優では、松たか子さん(森口先生役)、西井幸人さん(少年A役)、橋本愛(少女役)、藤原薫(少年B役)が登壇されました。
映画『告白』と言えば、6月5日公開以来動員を延ばし、4週連続の首位。興行収入は既に20億円を突破した作品です。R-15作品でのこの数字は驚異的です。
そこで、この作品の成功の背景について考えてみました。
まず、言うまでもなく、湊かなえ著の原作の完成度が高いということ。小説『告白』は2009年の本屋大賞を受賞し、累計発行部数235万部を記録しています。
次に、妥協を許さない中島監督がメガホンを取ったこと。中島監督の力量は「下妻物語」や「嫌われ松子の一生」の成功が証明しています。
松たか子さん、岡田将生さん、木村佳乃さんといった演技力に定評のある俳優がキャスティングされていたこと。さらに、山口馬木也さんや黒田育世さんといった脇を固める俳優が役柄に絶妙にマッチしていたこと。
オーディションに勝ち抜いた、37名の生徒役の殆どが真っ白な状態で、中島監督の指導を受けているということ。過去の作品で、強烈な役を演じていないだけに、『告白』での役柄がなんの先入観なく見るものに影響を与えました。
さらに、サウンド効果と映像に全くの無駄や妥協がない。楽曲の選び方一つに始まり、雲の動き方まで、全てにメッセージが含まれていました。
本日の舞台挨拶で、最も心に残ったのは、中島監督の、
「今回の映画は多様に評価された。『好き』『嫌い』子に分かれる映画だからよい」という言葉でした。
これは多くの物作りを職業とする人たちに、勇気を与える言葉です。
万人に好かれようとすれば平均点レベルのつまらない作品になってしまう。個性豊かな作品作りを心掛ければ、熱狂的なファンができるのと同時に批判的に作品を評価する人も増える。
もともと、小説『告白』を発表された時点で、評価は一つ星から、五つ星に分かれていました。それだけに、この作品に惹かれたファンは周囲の意見を気にすることなく、「私はこの作品が好きだ」と言い切り、この作品を口コミで広げていきました。この小説『告白』のファンが最初に映画館に足を運んだことは間違えないでしょう。
しかし、小説『告白』の支持者の力だけでは、これだけの成功は手にできません。実は、湊かなえさん自信が、「この映画は、原作より深く描かれている」と評価しているのです。言い換えれば、原作者の期待すら超える映画作品であったということです。
小説『告白』と映画『告白』の共通点は、最後にテーマを残して幕を下ろすことです。小説は完全なオープンエンディングで終わっており、読む者の想像力に任せて最終章を終えます。
それが映画化された後も、見る側にある意味「消化不良」を起こさせる工夫がなされています。重い物を心に残された人たちは、映画館を去ったのちも、この作品のテーマについて考えようとします。すなわち、映画『告白』は心の中に再生しなおさなければ、納得感の得られない作品であるということです。
一人では結論を導くことのできなかった者は、ブログやツイッターを介して、意見の交換を繰り返します。その結果が、映画『告白』が社会現象を巻き起こした理由と言えるでしょう。
多様の評価を得られる作品作りをよしとし、妥協を許さない。多くを述べてしまいましたが、成功の要因は、中島監督のこの一言につきるのかもしれません。
野村るり子
