アスリートに観てもらいたいドーピングドキュメンタリー映画「イカロス(原題:Icarus)」

様々なアスリートを指導する立場におられる、指導者や親御さんへ

映画「イカロス」を観ました。
みなさんはもう、ご覧になりましたか?

ドキュメンタリー映画としての魅力については、このブログの本題と逸れるので、脇に置いておくこととします。

この映画を通じて「ドーピング」というものについて、非常に考えさせられます。

1つ目は、少なくともこの映画においては(前半部分がそこが描かれているポイントですが)、ガチで際限のないドーピングをやりきって臨んだ国際大会において、競技成績は上がりませんでした。

ものすごい数の注射で薬物を体内に直接注入し続け、データ上ではフィジカルデータは間違いなく高まっていたにも関わらず、結果はドーピングをせずに臨んだ前年大会を下回るものでした。

あれだけのコストと、苦痛と、不安や焦燥を払って行った1年間のドーピング行為の結果が、前年以下の順位という事実は、ドーピングという行為が成果の保証をするような、完成された選択肢ではないということを気づかせてくれます。

2つ目は、それにも関わらず、ロシアという超大国が国家ぐるみで、ものすごい数のアスリートのドーピングを全面的に支援し、結果としてその成果が試されたソチオリンピック2014において、11個のメダル獲得に成功しているということです。

11個というのは、大会開催時にロシアが獲得したメダル総数は33個なのですが、そのうち11個が大会終了後にドーピング違反を理由に剥奪されていますから、その11個をここでは「ドーピング行為の成果」と置きました。

ちなみに、11個剥奪前の「金13個」「総数33個」は、いずれもソチオリンピック出場国中で1位でした。

これを見ると、ドーピングには、「決して確率は高くないが、成果を高める効果は一定程度ある」と言えるのかもしれません

3つ目は、「そんなことを行う国家が、世界中にロシア以外にない」と誰も言い切ることはできないし、おそらくそんなことは絶対にないだろう、ということです。

作品中の登場人物(UCLAオリンピック ラボのドナルド・カトリン氏だったような記憶ですが、記憶が不確かですので”登場人物”とさせていただきます)も、「(アスリート)全員がやっている!」と言い切っていたのも、非常に印象的です。

突き詰めれば突き詰めるほど、アスリートは成長や勝利を渇望します。
その結果、何が許される工夫で、何が許されない工夫なのか、時として判断を誤りそうになったり、許されない行為に手を伸ばそうとする時があります。

ドーピングというと、「それはありえない!」と誰もが思うでしょう。
ですが、例えば

「審判に見えないところで、ラフプレーをする」
「セルフジャッジで、自分に甘いジャッジをする」
「ルールで禁止されている行為を、”周りもやっているから”と自分もやる」
「暴力や暴言で相手やライバルを落とすことで、自分を上に置こうとする」

と言い換えると、我が身に心当たりがある選手が増えるのではないでしょうか。
これらは、行為の違いはあれども、自分の意思や良心で踏みとどまることができず、許されない行為に手を染めているという点で、ドーピングと同じ思考構造であり、こういうことを行うアスリートは、ドーピングに手を出すリスクがあるアスリートであり、すなわちほとんどすべてのアスリートが、ドーピングに手を出すリスクがあるということなのだと思います。

ダメ(ルールで禁止されている)だからやらないのか?
ルールで禁止されている理由はなんなのか?
ドーピングさえ除去すれば、私たちの競争や戦いは、クリーンでフェアであると本当に言い切れるのか?
なんのために勝利を目指すのか?

深く考えることが、すべてのアスリートと指導者に必要であると思います。
ぜひ、あなたの教え子と一度話をしてみてください。

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