いつまでも普遍的に“正しい”練習方法など無いのです

様々なアスリートを指導する立場におられる、指導者や親御さんへ

ホープスの坂井です。
少し前の話となりますが、設楽悠太選手(Honda陸上競技部)が、16年ぶりに日本人フルマラソンの記録を更新しました。

https://dot.asahi.com/aera/2018030500019.html?page=1

印象的だった言葉は、

「僕は30キロ以上の距離走はやりません」
「こだわったのはタイムよりも勝負。レースに出たことで勝ち癖もついた」

など、これまでのマラソン界における強化法の常識とは異なるものです。


(私は、マラソンに関して門外漢ですので、そもそも設楽選手のトレーニング法が常識的であるか、非常識であるかを判断する立場にありません。しかし、日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦さんが「常識では考えられない」と話しておられることから、これまでの常識とは異なるものなのだろうと受け取っています)

マラソンに限らず、私たちアスリート指導に携わる立場の人たちは、ついつい「この方法でやればうまくいく!」というものを探し出そう、作り出そうとしてしまいます

しかし、それがかえって「現状のやり方に固執する」「過去の成功体験に引きずられ続ける」という、アスリート指導者として最も落ちてはいけない落とし穴にはまってしまうことに繋がってしまっているように感じています。

さらに最悪なのは、自分が「正しいと信じる方法」を、選手の個性やタイプなどおかまいなしに、あらゆる選手に押し付けようとしてしまうことです。

この話を突き詰めていくと、少しばかり深い話になっていきます。

某大学でアスリート指導を研究する方からお聞きしたお話によれば、アスリート指導に携わる人たちのうち、少なく無い人たちが、「選手から一目置かれたい」「選手になめられたく無い」「選手ではなく、指導者である自分が関係性の主導権を握りたい」と考えており、それゆえに自分の知っている、経験したことのある土俵で選手とコミュニケーションすることを選んでしまっていた、と後に自戒しているのだそうです。

アスリート指導者の多くは、本当は知っています。

いつまでも普遍的に“正しい”練習方法など無い、ということを。

試行錯誤、工夫、回り道、新たな発想などを重ねて、繰り返していくことで、今の自分に最も適した成長方法を見つけるしか無いことを知っているし、そうやってたどり着いた“正解”ですら、「今の自分が、過去の自分となってしまった途端に」役に立たなくなることを知っているのです。

アスリート・センタード・コーチングという考え方があります。
これについては、日本体育大学の伊藤 雅充 准教授がその第一人者とされています。
(詳細はこちらをご覧ください → https://www.nittai.ac.jp/coaching/movie/index.html

指導者は、選手成長のイニシアチブを取る存在でも、牽引する存在でもありません。
あくまで、選手の成長は選手の主体性によって行われるべきものです。

「お前には才能があるのにもったいない!」なんてアプローチは、大いなるお節介であり、20年前ならいざ知らず、今ではまったく通用しない選手との向き合い方です。

いつまでも普遍的に“正しい”練習方法など無いということを日々自ら再確認し、アスリート主体の時代の指導者のあり方を模索し続ける。

そういう指導者でありたいと、私自身は常々意識しています。

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